”これを演らないことには次に行けない”という感覚
上杉さん:もう、かなり、だけど、クオリティは自分でも高いと思いますよ。
シーケンサーもちゃんと使ってて、自分でリアルタイムでキーを叩いてドラムも入れて
12時間ぐらいぶっ通しで目を充血させて演ってましたね。
●ギターやベースの音はどうやって入れてるの?
上杉さん:マイクで拾って
●・・・・近所に迷惑じゃない?(笑)
上杉さん:ええ(笑)防音もよくない部屋で、でも隣の人もイケナイのに犬を買ってたりするから
お互い弱みを握り合ってなんとか
●はははは・・・でもリズムパターンの打ち込みとかは結構難しそう
上杉さん:もう最初は何も打ち込み方が分からなかったから、ドラムはヨタヨタなんですよ。
歌詞はメチャクチャ英語だし・・・・でも、それで作ってるのに凄く近いことが次のアルバムで
出来てるから、なんか、自宅録音のテープをレコーディングしたみたいなノリがあって・・・
そういう意味ではもメンバーやスタッフには感謝してますよ。
●てことは次のアルバムも結構”音の重ね方とかもスカスカ気味で、ビートもシンプルでガーっと
行く感じで、キメになる格好良いギターのリフとかが印象的。みたいなモノになりそうだっつう予想が
出来ますな。
上杉さん:頷きながら持ってくりゃよかったなあ
●(同じく頷いているマネージャー氏を見ながら)その自宅録音テープは結構ギャっ!って感じの
迫力があるやつなんでしょうか?
マネージャー氏:何故か耳から離れない感じなんですよ・・・歌メロだったり、ギターのリフだったりに
必ず、何か聞流せない感じがあって
●WANDSとしての”パンクロックを聴きながらミルクを飲んでいる老婆”って歌詞ののった曲は
完成した?
上杉さん:完成しました。最初はそれがタイトルだったんですけど、それじゃびっくりしすぎるかなと
思って、タイトルは”フラワー”にして
●歌詞のその部分しか知らないのはずっと”どんな曲なんだろう?って想像しててね(笑)
何か予想だけど結果的に”心が温まる曲”なんじゃないかな?って結論に達したんですが
上杉さん;ああ!お楽しみに(笑)
●ちなみにここ最近の生活サイクルなどはどうなっておりますか。
上杉さん:生活は・・・今ちょっとケツに火がついてるから、すっげえ忙しくて
毎日3時間くらいしか寝てなくて
●時間が足りないわけ?それとも気分が高ぶって眠れないのかな?
上杉さん:両方ですね。1日が50時間ぐらいあればもっと楽になるんだろうけど・・・
最近は床に直に寝ちゃったり”寝よう”と思うと眠れないから、ベットに入ると駄目なんですよ、
構えちゃって
●寝酒とかは飲まない?
上杉さん:酒はあんまり・・・レコーディング中はノドやられるから
●煙草はばかすか吸うのにな(笑)
上杉さん:(笑)・・・ですねえ、それに他人の音楽でも、何聴いても全然良く思えなく
なってきたりとか
●ははあ・・・たぶんテンションが凄く高くなってて、妙にストイックな精神状態に
なっちゃってるんでしょ
上杉さん:ああ・・・そうでしょうね。
●だけど、上杉君はそういう時も無理にリフレッシュするぞ!って方向へは自分を持ってかないタイプ
だよね
上杉さん:ですね、全然
●ハマるんならハマれるだけハマったれい!みたいな(笑)
上杉さん:ええ、息抜きも何も無い(笑)だから、作業が終わったらちょっと、さすがに何か
考えようかなと・・・まあ、考えてもどうせまたアマチュアバンド観に行ったりとかですけど
●はは・・・テレビ観たりスポーツしたり、そういう気分転換すらする気にもならない、と
上杉さん:ならないですねえ
●じゃあ、家に居る時は・・・無音?
上杉さん:いや、無音じゃないですね。常に何かを忙しく聴いてるから・・・アルバムを通して
聴くってことは滅多にしないんですけど、”この曲聴いたら、ああ次はあれ聴こう”って
●追い立てられてますな。
上杉さん:そう・・・なんですかねえ
●じゃあ最近ハマった音楽とかは?
上杉さん:ベックとかホールとか・・・あとビートルズですね。
でも凄い好きな曲と嫌いな曲ハッキリしてて、例えば”レボリューション”とかそういうのよりも
頽廃的な雰囲気の漂う”ストロベリーフィールズフォエバー”とかが凄い好きで
●ハードロックフリークの上杉君のイメージからすると本来なら”レボリューション”とか・・・
上杉さん:へルタースケルターとか
●そうそう、そっちが好きそうだけどね(笑)でも新しい展開ですなそれは・・・
そんなだったら映画とか本とかも全然触れてないって感じ?
上杉さん:ええ。食べ物に気を遣う余裕もないんですよ。
●そんな感じがする、スタジオじゃあスタッフも含めてみんなが目だけギラギラしてる、みたいな(笑)
上杉さん:ええ、だいたいソファにはいつも誰かが倒れてますね(笑)だから凄い・・・
なんて言うのかな、そこまでみんなもやってくれてるから、この歌はちょっと気に入らないから
もう一回歌いたいとか言いづらいんだけど・・・でもそこで妥協しちゃうと一生残るし、結構そういうとこで
険悪な雰囲気には一瞬なりつつも(笑)
●でも、それは良いことだよね逆に言うと・・・・お互いがギリギリまでベストの物を出さなきゃ失礼だ!
って気持ちの結果だもんね。
上杉さん:ああ・・・そう、だから結構今回のアルバムは俺の得意分野だから。今までもそういうところ
はあったけど、”この歌はこっちの(テイクの)方が絶対良いと思う”って・・・自分の得意分野だけに
”これは絶対譲れないぞ”ってモメながらもやってます(笑)
●そういえば、柴崎君と共作の曲も出来たという情報が。
上杉さん:ええ、もともとAメロのとこしか出来てない曲があってそれをたまたま電話で
話してて”何とか形にしたいね”って・・・本当は柴崎のギターを自宅録音のMTRに入れて
ミックスしてみたかっただけなんだけど(笑)
”ちょっと今来た方がいいよ”って呼んで
●アルバムレコーディングとしては現段階でどのくらいまで作業は?
上杉さん:もうほとんど出来てますね。詞も全部書いちゃいましたから・・・あとはコーラスとか
ミックス
●そこまで進んでましたか。
上杉さん:でも、本当に今回のアルバムは聴いてもらうのが一番で・・・とやかく俺が言うよりも
聴いて欲しいなって
●じゃあアルバムインタビューはやめよう
上杉さん:ははは
●もしかしたら最近の君たちの物事や生き方に対する考え方とか”素直に感動できることとかを
インタビューした方が伝わるアルバムになってるのかもね
上杉さん:ああ、そうかもしれないですね。でも”パンクロックを聴きながら~~”の曲なんかは
凄くアングラな雰囲気を持ってたりもするし・・・一般的評価はわからないけど、俺の中では一番
奥深い曲というか
●なんだかいろいろな妄想がムラムラと湧いてきました(笑)
上杉さん:(笑)まあ賛否両論色々と出るかもしれないですけど、自分としてはやっぱり
”これをやらないことには次に行けないぞ”っていう感覚だったなあ。だから、今回アルバムを
作る上でのテーマは”あらゆる評価に触れないこと”だったし
●同じようなことを”世界が終わるまでは・・・”のインタビューの時にも言ってたよね、確か
上杉さん:ああ・・・・あの時のその感覚とはちょっと違いますけどね”世界が終わるまでは・・”
での一番大きな意味は、やっぱり今まで自分の築きあげてきた詞の世界のようなものに、
何か一つピリオド・・・けじめをつける、みたいな感覚でしたから
●今回は正に、次なるWANDS。
上杉さん:ええ・・・ずっと前にも話したと思うんですけこれからは自分の中には善な部分だけじゃなくて
もっと嫌いな面とか見苦しい面とか、そういうのも全部さらけだしていけたらいいな”って
それを今回、果たせたかなって気がしてて・・
●じゃあ”こんな上杉君、嫌い!”みたいな反応もあるかも(笑)
上杉さん:そういう風に思われちゃったらそれまでだけど
●でもとても良い姿勢だと思うよ
上杉さん:・・・・芸術性の高い音楽と、アイドル性の高い音楽、俺も自分の好きなアーティスト
にアイドル性を要求してたりするんだけど、アイドル性っていうのは賞味期限が短いっていうか(笑)
凄い刹那的じゃないっですか?やっぱり、そういう風に考えていくと、賞味期限なんて関係ない
”アーティスト性”っていうものを追求していきたいなと思いますから、ね
●アーティスト性って、結局”その人の人間性”だったりするしなあ
上杉さん:ね・・・・善な部分だけの人間なんてありえないじゃないですか。
きっと悪いところもあって、初めて良いところもあるんだと思うし
●言葉そのまんまだけど”アイドル=偶像・・・確かにそうだもんねえ、良くも悪くも
”人間”がでてる作品が一番真実だし、強い
上杉さん:ええ
●じゃあ、今回は・・・上杉君の”個人的な日記”みたいな詞が多いのかな?
上杉さん:いや、今までの詞の方が日記に近いアプローチでした。
それよりも今回はさらに突っ込んで・・・
●告白懺悔?(笑)
上杉さん:告白懺悔・・・・自分に対する戒めの意味もありますよ
●重い作品
上杉さん:そういう意味じゃヘヴィかも
●でもそのぶん真剣に泣けたり・・・
上杉さん:ですね。自分でも結構くる曲とかあったりしますよ
by sinasoba4
| 2015-09-04 21:53
| WANDS雑誌