自分がいちばん沈んでた時期というか、無関心で無感動になりつつあった時期を超えて
1999年 2月 UV
●上杉さんが遅れているみたいなので、とりあえずはじめましょう
まずは「カナリア」をシングルに選んだ理由について聞きたいんですが
柴崎さん:上杉が”これをシングルにしたい”って原曲を持ってきたんですけど、最初は
ものすごくダークで、バラード調のデモテープだったんですね。でも、俺はあんまりどんより
したものをやる気分になれなくて、もっと違うのをやりたいって話をしたんですよ。
それでも”どうしてもこれをやりたい”って言うから”じゃあ、これならどうだ?”てアレンジを
色々変えたり、方向性を変えて、最終的にこういう形になりました。
●これがマキシシングル3枚目で、今まで世に出たのが9曲になるんですけど・・・
柴崎さん:あと何曲か足せばアルバムになる
●まさか(笑)
柴崎さん:そういうのは出したくないので(笑)なかなか作業がスムーズじゃないわりには太っ腹に
マキシを出してますね
●で、この9曲で見えてきたことがあってやはりオルタナティヴロックの影響が強いんじゃないかと
思うんですね。ニルヴァーナがブレイクして以降のヘヴィなギターロックの流れを、同時代の音楽として
ちゃんと聴いてきた人たちなんだろうな、と
柴崎さん:いわゆるオルタナっていうのは、時代の感覚として自然に聞いてはいるけども・・・
上杉と俺の共通点を元にしてるだけなんですよね。それよりも、もっといろんな可能性があると
思ってやってるから
●普段から、そういう音楽談義やアイディアのやり取りはするんですか
柴崎さん:”どういう風にしよう”とか改まって話をすることはないですけど、たとえば
”この曲のこういうアイディアはいいよね”とか・・「カナリア」で使ったトロンボーンのフレーズも
メルヴィンズっていうバンドがそういうことをやっていて、ふとそういうのを思い出したり
●そういうロックの流れの中で、al.ni.coの現在位置はどこなんだろう?と思って、こういう質問を
してるんですけどね。
柴崎さん:うん、ニルヴァーナを最初に聴いた時にはすごく画期的でしたね。コードとメロディ
の組み合わせとか、何とも形容しがたい炸裂する感じとか・・・・あれはあれで素晴らしいんだけど
ただ歪んだ音でガチャガチャやるだけじゃない、プラウアルファの要素が入ったものを俺は
やりたいけど。グランジと呼ばれたものには多少飽きてるというか、新しいものを
やりたいって、上杉とも話してるし
(ここで上杉登場)
柴崎さん:ネタがなくて困っちゃって
上杉さん:ねちゃったって感じ?ネタ。・・・すいません(笑)
●来て早々、何を言うんですか(笑)
じゃあ上杉さんには、98年を振り返ってどうだったか?という質問から始めたいんですが
上杉さん:もう非常に充実してましたよ。今までも、適当にやってたわけではないですが、自分のために歌ったことが
なかったんで。自分のためにも歌うことができる環境が作れたんで、すごく充実してました。
聞き手の顔はあまり意識しないでやってましたね
●自分のために歌うことから始めた、と。
上杉さん:そうですね。等身大の自分を吐き出すことで、どういう人が共感してくれるか、どういう人が離れていくのか
わからないですけど。それをいちいち気にしてると、自分のために歌えないですからね。1枚目の「TOY$!」の時に
そのへんは悩んだところではあるんですよ。”じゃあ、なぜ前のバンドをやめたのか?”って考えると、自分をもっとより
濃く反映させたものを作りたいっていうことがいちばんだったんですね。そういう意味で、聴き手の顔を意識せずに、
まず、自分ありきで。どういう人たちが聴くのかって考えるのは、それからだと思いますね。
●さっきも柴崎さんに聞いたんですけど、これまでの9曲を通して、オルタナティヴロックの影響を
強く感じるんですね。
上杉さん:でも、それだけで終わりたくないなっていうのがあるんですよ。
●うん、同じこと言われました。
上杉さん:自分たちが耳にしたことがないものを作りたいっていうのは、難しいんですけど、
al.ni.coを結成した時のコンセプトとして、そういうのがあったんですよね
●確かに、お手本や目標がないから、簡単なことじゃないでしょうね
上杉さん:基準はあるんですけどね
●それは、何か言葉で言えます?
柴崎さん:いや、自分らの感覚でしかないので
上杉さん:でも、ヘヴィじゃなきゃいやだとか・・・ブルースカイじゃイヤだとか
●ブルースカイ?
上杉さん:だから明るすぎる曲じゃイヤだとか。能天気な明るさは苦手なんで。まあ、根が暗いんで、
ふたりとも(笑)
●でもネガティヴに聴こえないですよ。少なくとも、ネガティヴへ向かって進んでる感じはっしない
上杉さん:そうですね。”ネガティヴだけど、だからどうしよう?”というか・・・でも実際、ネガティヴな人間なんで
割と。そういう人間にはそういう表現方法がふさわしいんじゃないかと、単純に思うんで。俺と同じような奴がどこかに
いればいいなっていうそういう期待もありますけどね
●「カナリア」は、昔から、純粋に歌うことの象徴に使われたりしてますけど、上杉さんにとってはどんなイメージなんですか
上杉さん:やっぱり自分を象徴するものですかね。当初は、2枚目の「晴れた終わり」の続編的な内容の歌詞を
書こうと思ってたんですけど、書いてるうちに、どうして「晴れた終わり」の続編的な内容の歌詞を書こうと
思ってたんですけど、書いてるうちにどうして「晴れた終わり」が必要だったんだろう?ってことばかりになっちゃって
・・・あの頃は、自分がいちばん沈んでた時期というか、何においても”だから何だよ?”って思っちゃうような、
無関心で無感動な人間になりつつあって。だから当然、自分自身に期待することもなくて、このままじゃ何のために
生きてるのかわかんねえ、と思って・・・でも、理屈で解決しなきゃ気が済まないタイプなんで、そうしようと思う
んですけど、どうしてもわかんなくて。そのど真ん中にいる時って、自分を客観視できないですよね
でも、「晴れた終わり」を作って満たされたことによって、自分を一歩引いたところから見られるように
なって、ゆとりも出てきた。それで、あの時の感情が言葉にできるようになったから「カナリア」でそれを
歌ってみたんですね。
●al.ni.coって、セールスやチャートを狙ってどうのこうの、っていうタイプじゃないですよね。
とてもパーソナルだし、安易にリスナーに頼るようなこともないし。
そういう姿勢でいることは、今の日本の音楽シーンの中で、居心地はどうなんですか?
上杉さん:居心地がいいか悪いかって言ったら、難しいですね。むしろ前より居心地が悪いかもしれないところも
あるんですけど・・・ただ、カッコイイ自分にはなれてますよね。確かにだからこそやってるし
●今の音楽シーンへのアンチテーゼや怒りが、こういう方向へ向かわせた、ということはあります?
それとも、あくまでも内面的な変化の方が重要ですか。
上杉さん:どっちもですよね。でも、怒りとか言いながらも、自分も同じようなことをやってきた・・・こんなこと
言っちゃっていいのかな。まあ、適当にやってた訳では決してなくて、プロデューサーがいて、与えられたワクの中で
自分を最大限にだすってことを常にやってきて、そのワクを広げようっていうことが、自分が唯一できる抵抗
ロックたる姿勢だったんですけど、でもやっぱり、結局アーティストから発信するものではない形でブレイクして
しまった分、色々影響sれた部分もたぶんあったと思うんで・・・今は、そういう音楽だけじゃないんだよって
わかってほしいっていうことは思ってますけどね。
まずは「カナリア」をシングルに選んだ理由について聞きたいんですが
柴崎さん:上杉が”これをシングルにしたい”って原曲を持ってきたんですけど、最初は
ものすごくダークで、バラード調のデモテープだったんですね。でも、俺はあんまりどんより
したものをやる気分になれなくて、もっと違うのをやりたいって話をしたんですよ。
それでも”どうしてもこれをやりたい”って言うから”じゃあ、これならどうだ?”てアレンジを
色々変えたり、方向性を変えて、最終的にこういう形になりました。
●これがマキシシングル3枚目で、今まで世に出たのが9曲になるんですけど・・・
柴崎さん:あと何曲か足せばアルバムになる
●まさか(笑)
柴崎さん:そういうのは出したくないので(笑)なかなか作業がスムーズじゃないわりには太っ腹に
マキシを出してますね
●で、この9曲で見えてきたことがあってやはりオルタナティヴロックの影響が強いんじゃないかと
思うんですね。ニルヴァーナがブレイクして以降のヘヴィなギターロックの流れを、同時代の音楽として
ちゃんと聴いてきた人たちなんだろうな、と
柴崎さん:いわゆるオルタナっていうのは、時代の感覚として自然に聞いてはいるけども・・・
上杉と俺の共通点を元にしてるだけなんですよね。それよりも、もっといろんな可能性があると
思ってやってるから
●普段から、そういう音楽談義やアイディアのやり取りはするんですか
柴崎さん:”どういう風にしよう”とか改まって話をすることはないですけど、たとえば
”この曲のこういうアイディアはいいよね”とか・・「カナリア」で使ったトロンボーンのフレーズも
メルヴィンズっていうバンドがそういうことをやっていて、ふとそういうのを思い出したり
●そういうロックの流れの中で、al.ni.coの現在位置はどこなんだろう?と思って、こういう質問を
してるんですけどね。
柴崎さん:うん、ニルヴァーナを最初に聴いた時にはすごく画期的でしたね。コードとメロディ
の組み合わせとか、何とも形容しがたい炸裂する感じとか・・・・あれはあれで素晴らしいんだけど
ただ歪んだ音でガチャガチャやるだけじゃない、プラウアルファの要素が入ったものを俺は
やりたいけど。グランジと呼ばれたものには多少飽きてるというか、新しいものを
やりたいって、上杉とも話してるし
(ここで上杉登場)
柴崎さん:ネタがなくて困っちゃって
上杉さん:ねちゃったって感じ?ネタ。・・・すいません(笑)
●来て早々、何を言うんですか(笑)
じゃあ上杉さんには、98年を振り返ってどうだったか?という質問から始めたいんですが
上杉さん:もう非常に充実してましたよ。今までも、適当にやってたわけではないですが、自分のために歌ったことが
なかったんで。自分のためにも歌うことができる環境が作れたんで、すごく充実してました。
聞き手の顔はあまり意識しないでやってましたね
●自分のために歌うことから始めた、と。
上杉さん:そうですね。等身大の自分を吐き出すことで、どういう人が共感してくれるか、どういう人が離れていくのか
わからないですけど。それをいちいち気にしてると、自分のために歌えないですからね。1枚目の「TOY$!」の時に
そのへんは悩んだところではあるんですよ。”じゃあ、なぜ前のバンドをやめたのか?”って考えると、自分をもっとより
濃く反映させたものを作りたいっていうことがいちばんだったんですね。そういう意味で、聴き手の顔を意識せずに、
まず、自分ありきで。どういう人たちが聴くのかって考えるのは、それからだと思いますね。
●さっきも柴崎さんに聞いたんですけど、これまでの9曲を通して、オルタナティヴロックの影響を
強く感じるんですね。
上杉さん:でも、それだけで終わりたくないなっていうのがあるんですよ。
●うん、同じこと言われました。
上杉さん:自分たちが耳にしたことがないものを作りたいっていうのは、難しいんですけど、
al.ni.coを結成した時のコンセプトとして、そういうのがあったんですよね
●確かに、お手本や目標がないから、簡単なことじゃないでしょうね
上杉さん:基準はあるんですけどね
●それは、何か言葉で言えます?
柴崎さん:いや、自分らの感覚でしかないので
上杉さん:でも、ヘヴィじゃなきゃいやだとか・・・ブルースカイじゃイヤだとか
●ブルースカイ?
上杉さん:だから明るすぎる曲じゃイヤだとか。能天気な明るさは苦手なんで。まあ、根が暗いんで、
ふたりとも(笑)
●でもネガティヴに聴こえないですよ。少なくとも、ネガティヴへ向かって進んでる感じはっしない
上杉さん:そうですね。”ネガティヴだけど、だからどうしよう?”というか・・・でも実際、ネガティヴな人間なんで
割と。そういう人間にはそういう表現方法がふさわしいんじゃないかと、単純に思うんで。俺と同じような奴がどこかに
いればいいなっていうそういう期待もありますけどね
●「カナリア」は、昔から、純粋に歌うことの象徴に使われたりしてますけど、上杉さんにとってはどんなイメージなんですか
上杉さん:やっぱり自分を象徴するものですかね。当初は、2枚目の「晴れた終わり」の続編的な内容の歌詞を
書こうと思ってたんですけど、書いてるうちに、どうして「晴れた終わり」の続編的な内容の歌詞を書こうと
思ってたんですけど、書いてるうちにどうして「晴れた終わり」が必要だったんだろう?ってことばかりになっちゃって
・・・あの頃は、自分がいちばん沈んでた時期というか、何においても”だから何だよ?”って思っちゃうような、
無関心で無感動な人間になりつつあって。だから当然、自分自身に期待することもなくて、このままじゃ何のために
生きてるのかわかんねえ、と思って・・・でも、理屈で解決しなきゃ気が済まないタイプなんで、そうしようと思う
んですけど、どうしてもわかんなくて。そのど真ん中にいる時って、自分を客観視できないですよね
でも、「晴れた終わり」を作って満たされたことによって、自分を一歩引いたところから見られるように
なって、ゆとりも出てきた。それで、あの時の感情が言葉にできるようになったから「カナリア」でそれを
歌ってみたんですね。
●al.ni.coって、セールスやチャートを狙ってどうのこうの、っていうタイプじゃないですよね。
とてもパーソナルだし、安易にリスナーに頼るようなこともないし。
そういう姿勢でいることは、今の日本の音楽シーンの中で、居心地はどうなんですか?
上杉さん:居心地がいいか悪いかって言ったら、難しいですね。むしろ前より居心地が悪いかもしれないところも
あるんですけど・・・ただ、カッコイイ自分にはなれてますよね。確かにだからこそやってるし
●今の音楽シーンへのアンチテーゼや怒りが、こういう方向へ向かわせた、ということはあります?
それとも、あくまでも内面的な変化の方が重要ですか。
上杉さん:どっちもですよね。でも、怒りとか言いながらも、自分も同じようなことをやってきた・・・こんなこと
言っちゃっていいのかな。まあ、適当にやってた訳では決してなくて、プロデューサーがいて、与えられたワクの中で
自分を最大限にだすってことを常にやってきて、そのワクを広げようっていうことが、自分が唯一できる抵抗
ロックたる姿勢だったんですけど、でもやっぱり、結局アーティストから発信するものではない形でブレイクして
しまった分、色々影響sれた部分もたぶんあったと思うんで・・・今は、そういう音楽だけじゃないんだよって
わかってほしいっていうことは思ってますけどね。
by sinasoba4
| 2015-09-23 18:00
| ai.ni.co雑誌